在来工法タイル風呂の浴室リフォームと費用(価格)相場
更新日:2025.07.29
当社に寄せられる浴室リフォーム工事のご相談の中でも「タイル風呂からシステムバスにお風呂リフォームしたい」というご要望は毎年たくさんいただきます。その中で「タイル風呂からのお風呂リフォームは価格が高いのでは?」というのは、最初によくいただくお声です。
実際のお話をすると確かに①タイル風呂の解体②土間打ち③産業廃棄物処分費④その他タイル風呂からのリフォームによくある付帯工事分は、システムバスからシステムバスへの浴室リフォームと比べて割高になりますが、給排水工事やシステムバスの組立費、脱衣場の内装工事、もちろんシステムバス本体の商品代も費用は変わりません。
今回の『お風呂リフォ―ム虎の巻vol.04』では、このタイル風呂からシステムバスへのお風呂リフォーム工事について深堀りしたいと思います。
目次ボックス
1.タイル風呂解体工程解説
2.タイル風呂解体の費用(価格)相場
3.コンクリート土間打ち工程解説
4.コンクリート土間打ちの費用(価格)相場
5.タイル風呂からの浴室リフォームよくある付帯工事
1.タイル風呂解体工程解説
まずはタイル風呂の解体の具体的な工程と各工程における留意点からご解説をさせていただきたいと思います。
①近隣ご挨拶・養生
冒頭からシステムバスの解体と大きく異なる点があります。それはタイル風呂には大きな騒音が発生するという事です。『電動ハンマ』あるいは『ハツリ機』と呼ばれる電動工具を使って、タイルを割りながら進めていくため、その騒音は凄まじく、ご近所様への近隣ご挨拶で解体日時を明確にしておく事は必須です。また、ご高齢のご家族がいらっしゃる場合、騒音や振動から気分が悪くなられた経験もありますので、タイル風呂の解体中は外出いただくのもご検討ください。
また、タイル風呂の解体はホコリも大量に発生します。お客様のお家の養生はもちろんですが、浴室窓からご近所様に騒音だけでなくホコリでもご迷惑をお掛けする場合がありますので、そういう意味でもご挨拶には気を配りますし、お客様ご自身と一緒にご挨拶に回らせていただければ尚良い下準備となります。
②浴室天井解体
タイル風呂の浴室天井は大きく2種類あります。一つはバスリブと呼ばれる天井材が使われている場合、もう一つは天井が左官仕事による塗り天井になった場合です。単に素材の違いだけであれば良いのですが、両者で解体の手間暇は随分違います。前者はバスリブを剥がすたけなのでスピーディに進みます。しかし、後者はバールを使って剥がしていかなければならず、塗り天井によっては前者に比べ時間を要してしまうのです。
⇑バスリブはとても剥がしやすい素材です
⇑左官の塗り天井はバールで少しずつ剥がしていきます
③給水・給湯止栓
天井を落とし終えたら浴槽・壁タイルの前にカランやシャワーを外すためにお家全体の給水・給湯を止栓します。これはタイルを割る過程の中でうっかりカランを傷付けたり、給水管を突いてしまうと漏水が起こり、復旧するのに時間ロスするためです。費用相場でも後述しますが、解体工事の費用は要するに人工の積み上げであり時間との闘いという事が出来ます。ですから、リフォーム業者のタイル風呂の解体工程はタイル風呂を解体業者に依頼する会社、あるいはタイル風呂の解体に対応する水道設備職人にお願いするパターンに分かれます。確かに解体業者の方が時間的には早く進む可能性が高いですが、当社はトラブルロスの方を重視しており解体中万が一の漏水にも即座に修理出来る水道設備職人にタイル風呂の解体を依頼しています。
⇑給水と給湯の配管の位置が見付かるまで止栓します
④浴槽解体・搬出
タイル風呂の浴槽についても種類大きく2つあります。一つはステンレスの浴槽です。解体しやすく軽量で搬出もしやすく、タイル風呂では最も多い浴槽です。一方で数は少ない傾向にはありますけれど、保温性が高いホーローの鋳物浴槽もあります。こちらは何より重量があり搬出しにくく、浴槽そのものを分割しようにも非常に硬いためそれも簡単ではありません。
⇑軽量のステンレス製浴槽
⇑保温性は高いけれどとにかく重いホーロー製の鋳物浴槽
⑤壁・床タイルハツリ
ここからがタイル風呂解体のメインです。ひたすらハツリ機でタイルを割っていく工程です。割り進めた大量のタイルを白土嚢に詰めながら搬出し、テンポを乱さないように進めていきます。浴室窓まわりもシステムバスの新しい窓枠取付けるため、窓を傷付けないように最大限配慮する必要があります。また、壁タイルをハツった結果、新しいシステムバスを組立てるための必要有効寸法が確保出来れば、必要のないタイルの解体は耐震性にも寄与出来るのでそのまま残しておきます。
⇑割ったタイルは白土嚢に詰めてどんどん搬出します
2.タイル風呂解体の費用(価格)相場
前述させていただきました様に一口にタイル風呂解体費用の相場といっても既存浴室の仕様によって解体しやすい、解体しにくいかは現場によってそれぞれです。さらにこれに既存浴室の大きさが絡み合ってくる事になります。当然、0.75坪の浴室と1.25坪のお風呂では解体に掛かる手間暇は全く異なるのです。
そのような中で大前提の話をさせていただくと、当社のタイル風呂解体のお客様へのご提案価格はその現場を見させていただいた上で、そのタイル風呂の解体に何人工掛かるかという見立てでのお見積です。例えば0.75坪の浴室で解体しやすい仕様であれば、解体の人工はサポートする現場監督は別にして職人1人の一人工です。また、定番の一坪サイズの浴室で解体しやすい仕様であれば、工期2日間の2人工です。そして、1.25坪では目安は3人工です。ちなみに1.25坪の浴室なら広いため職人二人掛かりで解体してもロスしないため、初日に2人工、二日目1人工と1坪と同じ工期2日間で解体出来ます。作業スペースが狭い小さい浴室だとそういう訳にもいかないという訳です。もちろん、この見立てが甘かったとしても追加で費用をいただく様な事は当社ではありません。しかし、浴室天井ひとつとっても作業ペースは変わりますので、同じ1坪サイズでも場合によっては3人工分でお見積をご提案する事があるのをどうかご了承ください。
⇑1.25坪サイズのタイル風呂
【浴室サイズ別タイル風呂解体費用の目安】
①0.75坪サイズ ⇨ 4.5万円~
②1坪サイズ ⇨ 6.5万円~
③1.25坪サイズ ⇨ 8.0万円~
※現場監督の解体補助費も上記に含みます。
上記の目安価格はあくまで当社の場合であり、リフォーム業者によってお見積の仕方は様々ですから、凡そのご参考価格とお考えいただければ幸いです。
3.コンクリート土間打ち工程解説
タイル風呂の解体に続き、こちらもタイル風呂からシステムバスへの浴室リフォームには必須の工程であるコンクリート土間打ちについて解説させていただきます。
①コンクリートづくり
コンクリートとは適量のセメントと砂、砂利を水で混ぜてつくります。お家の中が汚れない様に出来るだけ屋外で電動ミキサーを高速回転させ絶妙の硬さになるまで混ぜ合わせます。20Lのペール缶に入れてつくるのが浴室まで搬入しやすい重さになるため当社の定番です。
②土間左官工事
左官は浴室の奥から浴室入口にむかって丁寧に施していきます。排水管の水勾配を確保しつつ、新しいシステムバスの脚の長さを逆算して適正な高さに塗り進めます。システムバスメーカーに明確な施工基準がある訳ではありませんが、当社の目安は10㎝程度のコンクリート厚みを見込んで完成させます。
⇑土間打ち当日の様子
③コンクリートの乾燥
浴室の土間は新しいシステムバスの土台となるため、頑丈に出来ていなければ意味がありません。セメント・砂・砂利・水のコンクリートの配合には明確な基準があるため問題はありませんが、土間の乾燥具合には季節が明確に左右します。当然、気温が暑い程早く乾燥し、反対に寒い程乾燥は遅くなります。基本的にはコンクリートは一晩で乾くというのが一般的な認識ではありますけれど、年々夏が長く感じるようになる中、当社では12月~3月の土間打ちについては施工から一日乾燥日を設けてからシステムバス組立の工程に進む様にしています。
⇑二日後の土間の様子
4.コンクリート土間打ちの費用(価格)相場
以上ような工程を必要とするコンクリート土間打ちの費用はセメント・砂・砂利の仕入れと左官工事の材工共で以下の目安でお見積をご提案させていただいております。
【コンクリート土間打ちの目安費用】
①0.75坪サイズ ⇨ 2万円
②1坪サイズ ⇨ 2.5万円
③1.25坪サイズ ⇨ 3万円
5.タイル風呂からの浴室リフォームによくある付帯工事
ここからはタイル風呂からシステムバスにリフォームする時によくある付帯工事についてご解説させていただきます。
①排気口コア抜き・換気ダクト工事
在来工法タイル風呂のシステムバスへのリフォームにおいて、費用に影響するよくある付帯工事としては、まずは『天井換気扇』の排気口の工事が挙げられます。大前提としてタイル風呂の換気扇で天井付けというケースはほとんどなく、多くの場合が壁付けの通気口か換気扇が設置されています。ただ、お客様は新しくシステムバスにリフォームする上で、せっかくなら天井換気扇を取付けて効率良く換気したいというのが人情です。しかし、その場合はシステムバスの天井裏に換気扇から吸い上げた空気を屋外に排出する排気口を新たに設けるリフォームが必要になります。
一方で元々システムバスだったお風呂は最初から天井換気扇であり、排気口も開口されているため多くの場合この工事の必要はなく、タイル風呂からのお風呂リフォームならではの付帯工事という事出来ます。
工法についてはシンプルで、まずは『ファンファンコア』で直径110mmの丸穴を開けます。これは、浴室換気扇の排気ダクトの標準サイズが直径100mmのため少し大きめに開口します。この丸穴にアルミ製の換気ダクトを通し、バス組立完了後に屋外に防虫ネット付のベントキャップを取付けし、キャップまわりを厚めに防水コーキングして完成です。
⇑ファンファンコアによるコア抜き
⇑新しい換気ダクトの仕込み
⇑ベントキャップ取付で屋外も完了
【排気口コア抜き・換気ダクト工事の目安費用】
8,000円/換気ダクト・ベントキャップ材料費込み
②浴室換気乾燥暖機設置に伴う専用回路増設
天井換気扇に派生して浴室換気乾燥暖房機の取付けもタイル風呂からの浴室リフォームにおいてよくある付帯工事です。つまり、浴室換気乾燥暖房機を新たに設けるなら分電盤から浴暖専用の専用回路を増設し、浴室まで引き込まなければなりません。既存タイル風呂に浴暖が付いている場合はすでに専用回路が設けられている可能性が高く、引き込みの必要はありません。しかし、タイル風呂に浴暖が設置されているのはかなりのレアケースと言わざるを得ません。リフォーム業者によっては専用回路を設けずに照明等の分岐配線で浴暖の取付けを勧めてくる可能性はあります。ただ、一定量の電圧を越えるとブレーカーが上がってしまう事になり、お客様が後々ご苦労される事になり得ます。
工法で問題になるのはお客様の分電盤がお家の何処にあるかになります。脱衣場に分電盤があるケースが多く、その場合の専用回路の増設はある意味容易ですが、浴室は2階にあるけれど分電盤は1階にあるという様な場合は屋外から専用回路を引き込まなければならないケースもあり、距離に応じて専用回路増設に費用は増えてしまう事になります。
⇑分電盤から専用回路を増設
⇑新しい浴暖に増設した専用回路を繋ぎ込みして完成
【専用回路増設の目安費用】
4.5万円/脱衣場に分電盤があるケース※2m以内
③タイル風呂の白蟻被害
タイル風呂からの浴室リフォームにおいて最も注意しておかなくてはならない最大の留意点は、解体後に剥がしたタイルの裏で白蟻被害が進行していた場合です。これについては事前の現場調査だけで判断するのがとても難しく、解体してみて初めて明らかになる問題です。重要なのはここで柱や土台といった主要構造部に浸食した白蟻被害についてどこまで復旧させるかというお客様のご判断です。当社では住宅リフォームのプロとしてお風呂リフォームの工程を全てストップし、腐食した主要構造部全てを抜き替えて改修するご選択肢をお勧めしますけれど、その間改修を担当させる大工さんの手配はこの時点から始まり未定となります。また、新しいシステムバスの組立予約も一旦反故にせざるを得ない状況になります。つまり、新しいお風呂が完成するのが随分先になってしまうという事です。当社ではこの白蟻被害のリスクについて、タイル風呂のお客様には必ずご説明する事を徹底しています。しかし、いざこの状況に陥るとご判断はお客様に委ねるしか術がなく、毎回解体しながら白蟻被害が無い事を願いながら工事を進めています。また、浴室窓の漏水から窓まわりが腐食していた場合も同じ様にお客様判断に委ねさせていただいております。
⇑白蟻被害で柱が完全に食い尽くされています
⇑窓まわりの漏水により躯体が腐食しています
【白相被害からの復旧・改修の目安費用】
20~30万円/現場状況によって大きく増減します
④タイル風呂の産業廃棄物処理
最後にタイル風呂の解体に伴い発生する産廃廃棄物処分について触れておきたいと思います。まずは実際の0.75坪、1坪、1.25坪それぞれのタイル風呂解体で発生した産廃についての画像が以下です。
⇑0.75坪のタイル風呂の産業廃棄物
⇑1坪サイズのタイル風呂産業廃棄物
⇑1.25坪のタイル風呂産業廃棄物
一目瞭然でタイル風呂の大きさに比例して産廃処分量は増減します。その中で産廃処分の費用についての目安は以下です。
【タイル風呂産業廃棄物処理の費用目安】
(1)0.75坪サイズ ⇨ 54,000円~
(2)1坪サイズ ⇨ 72,000円~
(3)1.25坪サイズ ⇨ 90,000円~
以上で在来工法のタイル風呂からシステムバスへのリフォーム工事についてのご解説を終了させていただきます。あくまでも当社基準でのタイル風呂へのアプローチからの費用(相場)という事はご理解をいただければ幸いです。こちらの『リフォーム虎の巻』に関連する当社施工事例を以下にサイズ別に3事例挙げておきますので、合わせてご参考いただければと思います。
今回も当社コラムをお読みいただきまして誠にありがとうございました。
〇0.75坪サイズのタイル風呂施工事例
〇1坪サイズのタイル風呂施工事例
〇1.25坪サイズのタイル風呂施工事例