浴室窓を『断熱サッシ』にリフォームする工法解説
更新日:2025.07.19
『KANSAIお風呂リフォーム.com』に寄せられるお客様からのご相談の中で『冬場お風呂が寒い』、『浴室窓の結露を何とかしたい』というのはとても多いお声です。20年、30年前のサッシには断熱という概念が薄かったので寒さや結露の問題が発生するのは当然です。ですから、浴室窓その物を取替しない限り、新しくユニットバスにリフォームしてもその問題が根本的に改善する事はありません。浴室窓を既存そのまま再利用することで、変わらずそこから浴室を冷やしてしまいますし、浴室内と外気の温度差が大きすぎて窓は引き続き結露し続ける、という理屈なのです。
しかし、皆様ご存知の通り、近年は地球温暖化の影響で寒さはもちろん、夏の暑さも深刻な問題となっています。そのような中で熱を遮断する『断熱サッシ』の技術開発の進化は凄まじく、ペアガラス、トリプルガラスはもちろんですが、かつての窓と現在の断熱サッシではその機能に各段の差があります。つまりは寒さと結露の問題を解決するには、浴室窓を断熱サッシにリフォームしなければならないという事なのです。
では、浴室窓をリフォームするにはどんな工法があるでしょうか?方法は3通りあります。
①規格サイズの断熱サッシに取替える
②オーダーサイズのカバー工法でリフォームする
③2重窓を新たに取付ける
今回は実際の当社施工事例をもとに、この3つの工法について解説させていただければと思います。是非、ご参考いただければ幸いです。
目次ボックス
- 規格サイズの断熱サッシに取替える
- オーダーサイズのカバー工法でリフォームする
- 2重窓を新たに取付ける
1.規格サイズの断熱サッシに取替える
さて、ここからは実際の施工事例をもとに古い『浴室窓』から最新の『断熱サッシ』への取替リフォームについての工程を見ていきたいと思います。まずは「工法①規格サイズの断熱サッシに取替える」の工程から解説させていただきます。
上の画像は『KANSAIお風呂リフォーム.com』のお客様の既存の『浴室窓』です。
築50年の在来工法の一戸建てのタイル風呂で窓はこの50年間一度もリフォームされていない状態でした。
当然、冬場は浴室はとても寒く、結露もひどいという問題を抱えておられました。
こちらのお客様は浴室リフォームをご検討の中で、
最初から窓も最新の『断熱サッシ』にリフォームされたいというご要望をお持ちでお話はとてもスムーズでした。
ただ、ご予算の関係上、コストは出来るだけ抑えたいという事で、
最も費用を安く抑える事ができる規格サイズの断熱サッシでリフォームさせていただく事になりました。
『浴室窓』取替リフォームのまず最初のステップは、タイル風呂の解体後、
バールを使って既存の窓枠を外してしまいます。
窓枠を取外したら新しい『断熱サッシ』と取付けるための開口を採寸し確認します。
既存窓よりワンサイズ小さい規格サイズサッシを使う事で、
大量生産のためコストが安く、施工も大工さんで対応出来るため低く抑えれます。
新しい『断熱サッシ』の窓枠を据えて、柱にビス仮打ちし、水平を確認します。
水平が確認出来たら新しい窓枠を固定する柱を造作していきます。
屋外の外壁の仕上げパネル用の造作材もこの段階で施工してしまいます。
ただ、⇑の画像で分かる様に、規格サイズの窓で対応する場合は、
外壁を一部剥がさなければならず、
塗装工事等も考えると結局コストは高くなります。
こちらのお客様は屋外が屋根付きのストックヤードになっており、
屋外からも見えない場所にあるため、
外壁の剥がした部分を大工工事でそのまま防水パネルで隠して仕舞いして欲しい
というお話で進めさせていただきました。
窓枠が固定出来たら『断熱サッシ』と網戸を入れてスムーズに開閉するかを確認します。
外部の仕上げは予定通り防水性が高いパネル材を隙間の防水と接着を兼ねたコーキング、
そしてパネル接着用の両面テープと使って仕上げていきます。
外部の窓まわりの納まりはこの通りです。
但し、この外部の納まりは外壁からの雨漏りを考えるとかなり邪道な方法を言わざるを得ません。
本来は以前の『お風呂リフォーム虎の巻』でお届けした
でも解説させていただきましたように、
新しい『断熱サッシ』の外部まわりはラスカット材を造作し、
左官でベースモルタルを扱き、キレイにペンキを塗って仕上げるのが正しい方法です。
しかし、画像の通りこちらのお客様の浴室窓の外部は雨風を完全にしのげる屋根壁があり、
低コストと工期短縮のためにパネル納まりにすることを
お客様との協議で決定させていただいた次第です。
まずはここまでで『浴室窓』取替リフォームの前半工程が終了です。
後半の工程は浴室側の納まりとなり、新しいユニットバスの組立工程の中で解説させていただくことになります。
浴室側の窓枠はユニットバス組立時に取付します。
画像のように適正なサイズに樹脂枠をカットして
四角形に組立して窓のアングルピースに差し込みします。
差し込みが完了したら専用のビスを使ってアングルピースと
窓枠をしっかりと固定します。
そしてビス留めを隠すための化粧カバーを適正なサイズにカット。
カットした化粧カバーをはめ込んでカタチが整ってきました。
最後に窓枠の隙間にコーキングを施して
『浴室窓』から『断熱サッシ』への取替リフォーム工事が全て完了しました。
以上が浴室窓を『断熱サッシ』にリフォームする工法その①規格サイズの「断熱サッシ」に取替えるのご解説でした。
2.オーダーサイズのカバー工法でリフォームする
次にご紹介するのはオーダーサイズのカバー工法で浴室窓を断熱サッシにリフォームする方法です。ご家庭の既存浴室窓に一枚一枚オーダーサイズで製作し、取外した既存窓の窓枠にカバー工法でリフォームする工法でYKK.apさんの「マドリモ」等がこれに該当します。以前のコラムでも解説させていただいた通り、窓を塞ぐ場合は仕上げに塗装工事が必要です。また、標準サイズの断熱窓を使用しリフォーム場合はサイズが既存窓とぴったり合う必要があります。しかし、オーダーサイズ窓のカバー工法は塗装の必要としません。サイズはそもそもオーダーメイドであり、外壁を剥がす必要がありません。浴室窓の窓リフォームにおいてこの工法には圧倒的な応用力があります。もちろん、価格は大きさにもよりますが材工共で25万円/枚程度と高額ですが、高い断熱性によって冬場でも浴室は暖かく保て、結露も大幅に低減する事が出来るおすすめのリフォーム工法です。
また、これは大事なところですが、この工法も含め浴室窓のリフォームは、お風呂リフォームとセットでなければ出来ません。なぜならば、浴室側からは新しいサッシに合わせた窓枠をシステムバス組立でジャストサイズで造作しなければならず、後付けは極めて困難なのです。つまりこの工法の基本工程は、①既存バスの解体⇨②カバー工法サッシ取付工事⇨③システムバス組立の工程が正しいといえようかと思います。
以下でこの工法を使った窓リフォームの具体例をご解説させていただきたいと思います。是非ご参考ください。
それでは大阪のお風呂リフォーム工事で実際にさせていただいた『オーダーサイズのカバー工法断熱サッシリフォーム』をご解説させていただきます。
まずは既存のユニットバスの解体を前日に終わらせた状態から。
サッシ工事当日、既存の浴室窓も取外します。
防犯用の面格子も新しい物にリフォームするので
一緒に取外しさせていただきます。
既存窓の窓枠はそのまま残し、
こちらに新しいサッシをカバー工法で
取り付けていく事になります。
下準備として窓まわりに防水シートを貼り、
屋外からの浸水をブロックさせてもらいます。
ここで新しいオーダーサイズで製作しておいた
新しい窓枠を組立してカバー工法で取付です。
新しい窓枠の取付が完了しました。
この段階で赤外線の水平器を使って水平を確認し、
微妙な調整をする事によって
新しい窓の開け閉めに問題が出ない様にします。
ここではみ出ている防水シートを
キレイにカットさせていただきます。
ここで断熱窓を取付し、開閉もしっかり確認します。
ここで屋外のコーキング打ちです。
既存の浴室窓も黒色のため分かりにくいですが、
しっかりコーキング打ちする事が出来ました。
乾燥に一晩掛かりますが
今晩は雨が降らない事を祈るばかりです。
ここで一緒に納材されていた新しい面格子も
しっかりビス留めさせていただきました。
以上がオーダーサイズのカバー工法
断熱サッシリフォームが完了です。
翌日のシステムバス組立でサッシの内側を
納めさせていただきます。
翌日のシステムバス組立で
取付けた新しい窓に合わせて開口した
壁パネルを取付します。
浴室側に取付する樹脂製の窓枠を造作します。
窓枠を取付させていただいたら
隙間にコーキング打ちして納めます。
以上でオーダーサイズのカバー工法による
断熱サッシリフォームの工程を解説させていただきました。
3.2重窓を新たに取付ける
浴室窓を『断熱サッシ』にリフォームする3つの工法の最後は「2重窓を新たに取付ける」についてご解説をさせていただきます。現在最もポピュラーな工法といえ、既存の窓を残しつつ、内側に断熱サッシを取付けるという最も安価でスピーディに取り付け出来るる方法です。リクシルさんの「インプラス」等が2重窓に該当します。
しかし、この工法には取付のための絶対条件があり、それは浴室窓の窓枠に断熱サッシを取付けるスペースがあるか否かです。この窓枠の奥行の事を我々は「見込み」と呼んでいますが、既存窓のロックの見込みも含めて最低7cmの見込みがなければ取付する事は出来ません。
また、お風呂をリフォームしなくても取付可能なのは強みですが、先に2重窓工事を先行してしまうと、新しいお風呂で2重窓をキレイに残す事が非常に困難な浴室リフォームになってしまいます。つまり、浴室窓を2重窓にリフォームするのであれば、浴室リフォームの後が望ましいという事です。
以上を踏まえ、以下で実際の施工例を基に工程をご解説させていただきます。
⇑のお客様は浴室リフォームの後、新しい浴室窓枠に2重窓を取付されました。
まずは2重窓を固定するアングルを窓枠ビス留めします。
続いて新しいアングルと窓枠の隙間にコーキング打ちするためマスキングを貼ります。
アングルの内側も外側もしっかりコーキングします。
新しい断熱サッシをレールハメさせていただき、
スムーズに開け閉め出来るかも確認させていただきます。
以上で断熱2重窓の取付が完了しました。
サッシが既存の窓を含めて2枚仕様となり、
確かにお掃除の手間は増えてしまいますが、
前述の2工法に比べて格段にスピーディに完成します。
こちらのお客様は浴室と一緒に脱衣場のサッシにも
2重窓を取付させていただきました。
これで冬場の脱衣場の寒さも改善されます。
以上で『浴室窓を「断熱サッシ」にリフォームする3つの工法解説』が終了です。
断熱サッシは現状全て補助金の対象工事でもありますので、
浴室リフォームと合わせて是非ご検討ください。
お読みいただきまして誠にありがとうございました。